【最適な課税方式はどれか?】配当所得の税金について考える
CATEGORY税金
「平成最後の確定申告完了」でも少し触れましたが、配当所得の納税方法について、平成29年度から「所得税と住民税で異なる有利な課税方式を選択できる」ようになっています。
所得税と住民税、それぞれどの課税方式を選択するのが最適なのでしょうか?
鬼に笑われそうですが、来年の確定申告に向けて自分の理解を深めるため、配当所得の税制についてまとめます。
※復興特別所得税については除いて掲載します

上場株式等の配当は、受け取りの際に税金が源泉徴収されています。
税率は20%(所得税:15% 住民税:5%)。
源泉徴収される税率で納得するのであれば、課税方式うんぬんを考える必要はありません。
(配当所得に対しては)確定申告もする必要がありません[ ➡ 申告不要制度 ]。
ただ、僕はおとなしく20%もの税金を払うつもりがありません。
税金は少ない方が良いに決まっています。
配当所得には、申告不要制度以外にも何種類かの課税方式があり、それらを選択することで税金を少なくできる可能性があります。
前提として、総合課税と分離課税についておさらいしておきます。
色々な所得(給料・年金など)を合算した所得金額に対して税金を計算する方式。
【税率】所得税=5~45%、住民税=10%
他の所得とは切り離して、個別に税金を計算する方式。
【税率】所得の種類によって異なる
外国株式の配当に対しては後述する配当控除の適用はできません。
また、海外と国内での2重課税や外国税額控除など、日本株式の配当とは制度が異なります。
混同するとややこしくなるため、本記事では日本株式の配当を前提として記載します。
所得税と住民税、それぞれどの課税方式を選択するのが最適なのか?
結論付けるのがこの記事の目的なので、「所得税」「住民税」それぞれ分けて考えます。
まずは所得税について。

※配当に関する税金以外への影響
課税総所得に算入されることにより、配当に関する税金以外へ影響が及ぶ場合があります。
▶ 参考サイト:大和証券
・被扶養者が配当所得の申告をすると、税金・社会保険上の扶養から外れる可能性がある
・サラリーマンの厚生年金保険料、健康保険料には影響がない
総合課税を選択すべきか?は、"配当控除"を適用した税率で評価します。

課税所得が900万円以下であれば、「配当控除適用後の実質税率 < 申告不要の税率」となるため、総合課税の方が有利となります。
申告分離課税を選択した場合、"譲渡損失との損益通算"ができます。
譲渡損失(=株の売却損)がある場合には、申告分離課税の検討の余地があります。
(例1)譲渡損失:50万円、配当所得:50万円の場合
配当所得:50万円 - 譲渡損失:50万円 = 配当所得:0円となるため、税金は無し。
(例2)譲渡損失:50万円、配当所得:100万円の場合
配当所得:100万円 - 譲渡損失:50万円 = 配当所得:50万円となり、税金は50万円 × 15% = 7.5万円となります。
以上のことから、
・配当に関する税金以外への影響
・課税所得額(総合課税)
・譲渡損失額(申告分離課税)
の要素を総合的に判断することになります。
僕個人としては、「配当に関する税金以外への影響」は現状無関係なので、
・譲渡損失が無ければ、総合課税
・譲渡損失があれば(損益通算結果によりますが)、申告分離課税
を選択すべきという結論となります。
つぎに住民税について考えます。

※配当に関する税金以外への影響
所得税と同様、課税総所得に算入されることにより、配当に関する税金以外へ影響が及ぶ場合があります。
・国民健康保険料、後期高齢者医療保険料の算定
・保育料の算定
・児童手当の所得制限
住民税においては、税金面では総合課税を選ぶメリットはありません。
所得税と同様、配当控除の制度はありますが、適用しても申告不要制度より税率が高いためです。

総合課税を選ぶメリットがあるとすれば、「ふるさと納税額への加算がある」ことです。
ふるさと納税の控除限度額は、以下の計算式で求めることができます。

(出典:ふるさとぷらす)
分子の「個人住民税所得割額」が増えれば、控除限度額が増えることになります。
申告不要制度の場合、個人住民税所得割額には加算されませんが、総合課税の場合は加算されます。
実際にどの位控除限度額が増えるのでしょうか?
僕個人を例にして計算してみます。
一方、配当に対する実質税率は2.2%高いので、¥500,000 × 2.2%=¥11,000の税金増。
この違いをどう評価するかですが、今後ふるさと納税の還元率が3割に制限されることを考えると、総合課税は不利でしょう。
なお、給与以外の所得を加味してふるさと納税の控除限度額を計算したい場合、「みんなの税ツール」を活用させていただいています。
年末になれば、給与&投資の所得も正確な見込みが出せると思いますので、年末にこちらのツールで計算して控除限度枠を使いきるのがおススメです♪
所得税と同様、"譲渡損失との損益通算"ができます。
税率も5%で、ふるさと納税額への加算もされるため、住民税に関しては申告分離課税が有利と考えられます。
総合課税と同様、実際にどの位控除限度額が増えるのか計算してみます。
僕個人としては、「配当に関する税金以外への影響」は無いので、申告分離課税を選択すべきという結論となります。
前述のとおり、所得税と異なる課税方式を選択する場合は、住民税の申告も必要になります。
具体的にどうすれば良いのか?は自治体によって多少の違いはあるのかもしれませんが、僕の自治体のHPでは、
『原則、確定申告書を提出する以前、かつ、納税通知書の送達前に市民税・県民税申告書に所定の内容を記載して提出』
と記載されていました。
うーん、どの位めんどくさいのだろうか・・・
来年の確定申告の際は、頑張って住民税の申告にもチャレンジしてみたいと思います。
結局、めんどくさくなって所得税と同じ課税方式で済ます可能性も高そうですがw

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所得税と住民税、それぞれどの課税方式を選択するのが最適なのでしょうか?
鬼に笑われそうですが、来年の確定申告に向けて自分の理解を深めるため、配当所得の税制についてまとめます。
※復興特別所得税については除いて掲載します

はじめに
配当所得と税金
上場株式等の配当は、受け取りの際に税金が源泉徴収されています。
税率は20%(所得税:15% 住民税:5%)。
源泉徴収される税率で納得するのであれば、課税方式うんぬんを考える必要はありません。
(配当所得に対しては)確定申告もする必要がありません[ ➡ 申告不要制度 ]。
ただ、僕はおとなしく20%もの税金を払うつもりがありません。
税金は少ない方が良いに決まっています。
配当所得には、申告不要制度以外にも何種類かの課税方式があり、それらを選択することで税金を少なくできる可能性があります。
総合課税と分離課税
前提として、総合課税と分離課税についておさらいしておきます。
・総合課税
色々な所得(給料・年金など)を合算した所得金額に対して税金を計算する方式。
【税率】所得税=5~45%、住民税=10%
・分離課税
他の所得とは切り離して、個別に税金を計算する方式。
【税率】所得の種類によって異なる
日本株式と外国株式の違い
外国株式の配当に対しては後述する配当控除の適用はできません。
また、海外と国内での2重課税や外国税額控除など、日本株式の配当とは制度が異なります。
混同するとややこしくなるため、本記事では日本株式の配当を前提として記載します。
配当所得の課税方式まとめ(所得税)
所得税と住民税、それぞれどの課税方式を選択するのが最適なのか?
結論付けるのがこの記事の目的なので、「所得税」「住民税」それぞれ分けて考えます。
まずは所得税について。

※配当に関する税金以外への影響
課税総所得に算入されることにより、配当に関する税金以外へ影響が及ぶ場合があります。
▶ 参考サイト:大和証券
影響があるもの(例)
・被扶養者が配当所得の申告をすると、税金・社会保険上の扶養から外れる可能性がある
影響がないもの
・サラリーマンの厚生年金保険料、健康保険料には影響がない
総合課税について
総合課税を選択すべきか?は、"配当控除"を適用した税率で評価します。

課税所得が900万円以下であれば、「配当控除適用後の実質税率 < 申告不要の税率」となるため、総合課税の方が有利となります。
申告分離課税について
申告分離課税を選択した場合、"譲渡損失との損益通算"ができます。
譲渡損失(=株の売却損)がある場合には、申告分離課税の検討の余地があります。
(例1)譲渡損失:50万円、配当所得:50万円の場合
配当所得:50万円 - 譲渡損失:50万円 = 配当所得:0円となるため、税金は無し。
(例2)譲渡損失:50万円、配当所得:100万円の場合
配当所得:100万円 - 譲渡損失:50万円 = 配当所得:50万円となり、税金は50万円 × 15% = 7.5万円となります。
以上のことから、
・配当に関する税金以外への影響
・課税所得額(総合課税)
・譲渡損失額(申告分離課税)
の要素を総合的に判断することになります。
個人的な結論
僕個人としては、「配当に関する税金以外への影響」は現状無関係なので、
・譲渡損失が無ければ、総合課税
・譲渡損失があれば(損益通算結果によりますが)、申告分離課税
を選択すべきという結論となります。
配当所得の課税方式まとめ(住民税)
つぎに住民税について考えます。

※配当に関する税金以外への影響
所得税と同様、課税総所得に算入されることにより、配当に関する税金以外へ影響が及ぶ場合があります。
影響があるもの(例)
・国民健康保険料、後期高齢者医療保険料の算定
・保育料の算定
・児童手当の所得制限
総合課税について
住民税においては、税金面では総合課税を選ぶメリットはありません。
所得税と同様、配当控除の制度はありますが、適用しても申告不要制度より税率が高いためです。

総合課税を選ぶメリットがあるとすれば、「ふるさと納税額への加算がある」ことです。
ふるさと納税額への加算について
ふるさと納税の控除限度額は、以下の計算式で求めることができます。

(出典:ふるさとぷらす)
分子の「個人住民税所得割額」が増えれば、控除限度額が増えることになります。
申告不要制度の場合、個人住民税所得割額には加算されませんが、総合課税の場合は加算されます。
実際にどの位控除限度額が増えるのでしょうか?
僕個人を例にして計算してみます。
【2018年の実績より】
配当所得:¥500,000
個人住民税所得割額 = 配当所得:¥500,000 × 住民税率:10% = ¥50,000
所得税率:20%
(個人住民税所得割額:¥50,000 × 20%)÷(100% - 10% -(所得税率:20% × 1.021))
≒¥14,000
申告不要制度と比較して、約¥14,000分の控除限度額が増えることになります。配当所得:¥500,000
個人住民税所得割額 = 配当所得:¥500,000 × 住民税率:10% = ¥50,000
所得税率:20%
(個人住民税所得割額:¥50,000 × 20%)÷(100% - 10% -(所得税率:20% × 1.021))
≒¥14,000
一方、配当に対する実質税率は2.2%高いので、¥500,000 × 2.2%=¥11,000の税金増。
この違いをどう評価するかですが、今後ふるさと納税の還元率が3割に制限されることを考えると、総合課税は不利でしょう。
なお、給与以外の所得を加味してふるさと納税の控除限度額を計算したい場合、「みんなの税ツール」を活用させていただいています。
年末になれば、給与&投資の所得も正確な見込みが出せると思いますので、年末にこちらのツールで計算して控除限度枠を使いきるのがおススメです♪
申告分離課税について
所得税と同様、"譲渡損失との損益通算"ができます。
税率も5%で、ふるさと納税額への加算もされるため、住民税に関しては申告分離課税が有利と考えられます。
総合課税と同様、実際にどの位控除限度額が増えるのか計算してみます。
【2018年の実績より】
配当所得:¥500,000
個人住民税所得割額 = 配当所得:¥500,000 × 住民税率:5% = ¥25,000
所得税率:20%
(個人住民税所得割額:¥25,000 × 20%)÷(100% - 10% -(所得税率:20% × 1.021))
≒¥7,000
申告不要制度と比較して、約¥7,000分の控除限度額が増えることになります。配当所得:¥500,000
個人住民税所得割額 = 配当所得:¥500,000 × 住民税率:5% = ¥25,000
所得税率:20%
(個人住民税所得割額:¥25,000 × 20%)÷(100% - 10% -(所得税率:20% × 1.021))
≒¥7,000
個人的な結論
僕個人としては、「配当に関する税金以外への影響」は無いので、申告分離課税を選択すべきという結論となります。
住民税の申告方法
前述のとおり、所得税と異なる課税方式を選択する場合は、住民税の申告も必要になります。
具体的にどうすれば良いのか?は自治体によって多少の違いはあるのかもしれませんが、僕の自治体のHPでは、
『原則、確定申告書を提出する以前、かつ、納税通知書の送達前に市民税・県民税申告書に所定の内容を記載して提出』
と記載されていました。
うーん、どの位めんどくさいのだろうか・・・
来年の確定申告の際は、頑張って住民税の申告にもチャレンジしてみたいと思います。
結局、めんどくさくなって所得税と同じ課税方式で済ます可能性も高そうですがw


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